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現代語や、簡易語のこと [ナイル短歌工房]

かなり前に、NHK短歌で
「中待合」ということばが取り上げられました。

いわゆる新語として、共通理解があるかどうかという。

この場合は、ぎりぎりセーフとの判断でした。

結社の歌会でも「終活」が話題になったことがあります。

言われてみれば分からなかったので調べました。
「終焉活動」かな。

共通理解の域に達しているか、一部の人の理解に留まるのか、
いろいろあります。

今月の詠草は「オリパラ(オリンピック・パラリンピック)」、
「簡宿(簡易宿泊所)」という略語をあえて使いました。

31文字という制約もさりながら、
現行の問題について、
調べてでも略語を知ってもらいたかったからでもあります。

ナイルは詠みぶりについて制約のない一方、
新語についての判断は厳しいので
私の選択がどう評価されるかは分かりません。
評価に従って、自分の判断を変えるつもりはありませんが。
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ナイル2017年10月号掲載歌【カジノ】 [ナイル短歌工房]

くろふねはノースドックの身代はりを担うてきたり山下埠頭

オリパラにことよする手はつけられて波止場食堂やをうつりけり

陽ざかりをコトブキへゆく賭けごとの染みたる街にそを聞きにゆく

簡宿を見上げて問へば手を横に振るひとのありさうか要らぬか

上ぐるこゑなきにあらざり次々と手に取られゆくみどりのシール

「これからの人には要らぬ」ぎりぎりの生計(たつき)をなさむ老いのひとこと

電光板に数字するどく暗がりにひたすら黙すやみの群むら

ともがらは曰はく「博打のカミサマ」よカジノカジノとはしやぐ男の

昼なかを地べた座りの人ひとの空にづぬけたひまはりは揺る

Roulette, win or lose すぎゆきは海馬にゆれるハスキーヴォイス

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十首目の「ルーレット」は全曲が聴けないので、試聴できるリンクを貼ります。
Amazon.co.jp: ルーレット: 上田 正樹: デジタルミュージック
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ナイル2017年9月号掲載歌【片輪むすび】 [ナイル短歌工房]

タクシーの窓にひろがる海の面に逆さネオンのひづみのかたち

おぼつかな陸と海との逢ふところガラスに映るみかづきのかほ

妄執を飼ひならしつつヨコハマの夜をとぶらふ汽笛を聞きぬ

飲みさしのビールの缶をそのままに浅きねむりのひと夜かなしき

しつとりとたまごの匂ふトーストに蜜を添へてはみなつきのあさ

行き止まりの白壁のありあまごもりつゆのひぬまの影をうつして

あすはなき七角形の部屋にゐてひと日をあそぶかたなわむすび

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ナイル2017年8月号掲載歌【黙はよこたふ】 [ナイル短歌工房]

たまさかるあの世この世をはしわたす結界として水はありにき

橋ひとつ渡ればしばしぬばたまの夜のそこひに黙はよこたふ

ささいなるいとぐちならむ道行きの手を漏るみづの糸のあやなす

共謀はあてどを知らずあしのねの我がためならぬ罪とはなにか

用ふべき手駒のなくて歩ばかりの陣をせばむるほのほの輪舞

逃げまどふおかまのあはれいつの世も受け入れられぬひとであつたよ

謀りごとたがひちがひに綯ひあはせ快楽(けらく)となさむひとよの花火

かがみなす浄夜あければももとせを待たずしをるる手向けの花は


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ナイル2017年7月号掲載歌【偏在の不在】 [ナイル短歌工房]

かほだちのあやめ分かたぬ狛犬はまさをのそらの結界にたつ

陰をなすかげをしたがへむらさきの苞をもたげるくちなはの徒(あだ)

あまあしの遠いまひるまカサンドラリリーは種をむすばぬさだめ

偏在のすみれはひらき大いなる不在をかこつ天球儀あり

はなぐはし桜ふぶきはうつせみのひとよをめぐる終はりのはじめ

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ナイル2017年6月号掲載歌【フラワー&ガーデンショウ】 [ナイル短歌工房]

すべからく朝な夕なをしひられて揃へばひらく薔薇(うばら)はありぬ

大輪はかなしかるべしをみなごの白きはだへはものおもふ薔薇

咲き出でて三日にしをるるさだめなれかよはぬ恋の薔薇のむらさき

あらざらむ黄色のさうびわうごんのひかりにまどふまなこふたがれ

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手前が「オスカル・フランソワ」奥が「フェルゼン伯爵」。
会場にはなかったが「アンドレ・グランディエ」は黄色のバラ。

くさぐさのをみなの額(ぬか)をわたりゆくとるこききやうの花冠は

ヨコハマは去年(こぞ)うまれたるペチュニアにこのあかときとゆふぐれがある

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左:ヨコハマ・モーニンググロウ 右:ヨコハマ・トワイライト

ひといきれ花のかをりを逃れいでうすき日差しの春はヨコハマ

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ナイル2017年5月号掲載歌【夢の質量】 [ナイル短歌工房]

ついたちの桜並木のぼつてりとけふありがちなをんなのなまへ

ゆふぐれはベッドのへりにあたたかくただのあなたのものとはなりぬ

灰いろのしじまの淵にただよひつ覚めてはねむる いつのまに雨

さやうなら光の逃げたフラスコの底にたゆたふ夢の質量

かざぐるま回るまはらぬさてもこそみなとみらいに午後の陽のかげ

園生より離れて咲きたるぬばたまの黒きダリアの目に亜空間

ペルソナ・ノン・グラータといふ 花さうびねぢれのいろのあざとさつたら


ナイル2017年4月号掲載歌【珈琲日和】 [ナイル短歌工房]

雨だれのときを上島珈琲はふと沈黙のまなざしのこと

豆を選るその指先のとまどひは火ともし頃の雨に似たりき

珈琲の肌にながれるうばたまの夢のあはひにしづむランバダ

ひとりゐる朝の目覚めはしろたへのカップのふちの空白のあり

あいまいにほどける夜の輪郭のよみがへりつつカフェ・マキアート

イッタラのカップのあをはてのひらに溶けてただよふゆふぐれの海

ぬるびゆく缶コーヒーをそのままにひと夜を展くつづきの話

ぬばたまの息ふるゆきのコトノハはまるい鏡のうちに溶けあふ



*2月に参加したネットプリント「珈琲日和6」に少し足して、連作にしました。

ナイル2017年3月号掲載歌【冬の休日】 [ナイル短歌工房]

その冬の休日のありふたつ名の虹のわたせる橋のたもとに

頬をよせまどろむ午後の水はあをくまつげに掬ふひかりのふるへ

ゆふづつは部屋のどこかにオレンジをふたつ転がすまちがひさがし

ひとごころともしき夜の灯のもとにことしの小さき咎をあがなふ

不在なるあしたのへりは天窓の吐息にそまる かげの鋭角

むらさきの色をとどむる沙羅双樹。常世の国にさをしかは跳ぬ

山門をくぐればひとりつゆしものじふぐわつざくら 風は死んでいたか

隠れ家に午後のしじまの深くして刻の襞なすきぬずれのこと

日だまりは水なき河を分かちつつげにえいえんのひとときをもつ

石だたみあしもとふかく砂のながれまさぐる海はとほいむらさき

ナイル2017年2月号掲載歌【水はひろがる】 [ナイル短歌工房]

ふかぶかと朽ち葉のしとね尖りゐるゆりの木ぬれに陽の宿りけり

色のなき更紗のへりは閉ざされてはつかに軋むベッドサイドに

息をかはす夜の深みゆきゆらゆらの足指の描くひらかなはふゆ

閉ざされた眸のさきにある霧はあをく薄らいでゆく夜の円環

肩口にむらさきの闇すんすんと眠らぬ真夜のサーキュレーター

朝ぼらけ目覚めのあひの黙ふかくうすくれなゐの水はひろがる

黄葉はさんざんと陽をかはしつつ身ぬちの熱を伏すたなごころ

なにとなく指をからめるしろかねの糸はつふゆの潮風に吹かれ

ものいはぬ目の閉ぢずありみなしたふ紅き尾びれは窓の辺に揺る

うつせみは空白の陽にうづくまるカロートに吹く風は風なの

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