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題詠「電柱」 [NHK短歌]

電柱の粗き木肌を黄の灯のぬくめゐるかに闇まさりゆく

   denchu.jpg

NHK短歌2月号、佐伯裕子さんに佳作で選んでいただきました。
ありがとうございました。

題詠「雪・氷」 [NHK短歌]

気づまりな沈黙に耐へかぬるがにグラスの氷からりとまろぶ

   ice on glass.jpg

NHK短歌2月号、木嶋靖生さんに佳作で選んでいただきました。
ありがとうございました。

ナイル1月号掲載歌【春まだき】 [ナイル短歌工房、グループ四季]

年の暮れ剪定ばさみ響く家のあるじは施設より帰り来ず

路地裏に門松売りも来ぬ町の夕べは音もなく暮れゆきぬ

冬がすみたなびく丘の彼方より飛行機雲の天に伸びゆく

羽ばたかぬかげ曳きて飛ぶ隼を包める春の淡きひかりは

春まだき現世の風を知らぬげに黄のフリージア並び初むるも

蝋梅の浅黄の衣はしどけなく香を纏ふかに吾を誘ひけり

薔薇の実を掌にころがせりげに丸く息づきもせで棘もつ我は

染め分けのうすき胡蝶のはなびらは陽にかほを向け春を恋ひしむ

明けやらぬ野にひとすぢの梅が香を辿りても見む春の通ひ路

風待草にほふ夕さりいづくにか落とし来たりし笑窪戻れる


   hayabusa_6862.jpg

いのち尽きるとき [挽歌]

揺らぎゐる炎見守(まも)りつ現世を掬へる御手の柔きことなと

飼い猫の具合がよくありません。
多分、今日明日の命でしょう。
もう十分頑張ったので、
逝くときは苦しまずにと願うばかりです。

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   高島野十郎「蝋燭」




題詠100首百人一首 [題詠blog2011]

題詠blogの選歌をなさり、私の歌もたくさん採ってくださった
西中眞二郎さんが、今年も「題詠100首百人一首」を編まれました。

100首揃ってみると読み応えがあり、壮観ですね!

文語口語が入り交じり、各々の歌風が異なるのも
かえって面白く感じます。

私は「099:惑」を入れていただきました。

未だ視えぬ「詠ふこころ」に惑う吾の闇にやさしきリルケの手紙

これはリルケの「若き詩人への手紙」をモチーフにしたもので、
以前「うたのわ」で詠んだ中から流用した歌です。

ちょっと意外な選歌でしたが、作歌についての悩みは
誰しも持ち続けていくものだと思いますし、
その辺りが印象的だったのかなと思います。

ありがとうございました。








ナイル12月号掲載歌【花の幻】 [ナイル短歌工房、グループ四季]

あかねさす紫の芽の吹き初めてミモザ枝垂るる冬のひだまり

禍きまでひたくれなゐにしなだるる寒緋桜を身ぬちに抱く

失衡の予感をはらむゴンドラに差し向かひつつふたり黙せる

うつくしき虚像ならまし産毛なきビスクの頬を撫づるてのひら

おほ川はこころ騒ぎをうつすごと潮の満ち干に波さかまきぬ

月の面の蒼きくぼみは眠られず夜を咲ききりし花の墓碑銘(エピタフ)

改札に君を送れば雑踏へたがひの生(しやう)を捲いて帰りぬ

つと毀れ拡がりゆける卵黄にゆるき破戒のかなしみを見つ

厨辺のましろき湯気に閉ざされて妻たる我よ盲目であれ

絶え間なく闇の胎より生まれ来る雪にかさねむ花の幻


   夜桜.jpg

今年最終号は、初参加の題詠blog2011から十首選び、
推敲を加えた上掲載しました。

西中眞二郎さん夏実麦太朗さん理阿弥さん
鳥羽省三さん飯田彩乃さんなど
鑑賞サイトも参考にしつつ、
何となくプロットが立ち上がるように選んでみました。

題詠は中だるみしないうちに極力早く完走しましたが
その分推敲が不十分な歌もあったと思います。
ですが、だいたい毎日十首をめどに短期集中型で臨んだのは
それなりの訓練にはなったのではないかと思っています。

枕詞 [その他]

隠り沼と呼び交はすごと細波の夜の静寂わが胸に優しき

   aube.jpg


「ナイル」12月号に、同人の重鎮のおひとりである
山岡弘道さんが枕詞辞典を刊行したというお知らせが載っており、
お願いして送っていただきました。

・書名 枕詞辞典(正引・逆引)
出版 ホサナ舎
・編集 山岡弘道
・A5判86頁(前半正引・後半逆引)
・定価 1000円

   新刊 「枕詞辞典 (正引・逆引) 」 を差し上げます
   (山岡氏のブログへのリンクです)

私は文語旧かな詠みですから、たまに枕詞を使いますが
その都度ネットなどで調べていました。

せっかく送っていただいたのですから、利用しない手はありません。

「夜」の枕詞は「うばたまの」「ぬばたまの」が最もポピュラーですが
他に何かないかなと逆引きしたところ、
ぴったりのがあるではありませんか!

「細波の」なら「沼」とも関連があり、
多分「水」の縁語になるのだと思います。

なかなか使いこなせそうにはありませんが、
折に触れて勉強したいと思います。

スプウン [恋愛]

スプウンの面曇りけり馬車道に淪落のごと華尼拉(ハニルレ)あまし

   bashamiti_ice.jpg

twitterで長音符を使わないでカタカナを書くと
お洒落に感じる、という話題が出ました。

そこから、太宰治の「斜陽」の冒頭、お母さまの話になりました。

 朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、
「あ」
 と幽かな叫び声をお挙げになった。
「髪の毛?」
 スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、と思った。(中略)
 スウプのいただきかたにしても、私たちなら、お皿の上にすこしうつむき、そうしてスプウンを横に持ってスウプを掬い、スプウンを横にしたまま口元に運んでいただくのだけれども、お母さまは左手のお指を軽くテーブルの縁にかけて、上体をかがめる事も無く、お顔をしゃんと挙げて、お皿をろくに見もせずスプウンを横にしてさっと掬って、それから、燕のように、とでも形容したいくらいに軽く鮮やかにスプウンをお口と直角になるように持ち運んで、スプウンの尖端から、スウプをお唇のあいだに流し込むのである。そうして、無心そうにあちこち傍見などなさりながら、ひらりひらりと、まるで小さな翼のようにスプウンをあつかい、スウプを一滴もおこぼしになる事も無いし、吸う音もお皿の音も、ちっともお立てにならぬのだ。(後略)


この「スウプ」「スプウン」が同様に情緒を醸し出す表記だ、というところで一致しました。

調べたところ、長音符の歴史は意外に古く、
外来語をカタカナ表記するようになった明治時代だそうです。

そこで、日本で初めてアイスクリーム製造販売した
馬車道の「相生」をイメージして詠んでみました。

ちなみに「華尼拉(ハニルレ)」はバニラの和名で、
やはり明治時代に使われていた表記だそうです。


飯田彩乃さんに5首鑑賞していただきました [題詠blog2011]

題詠blog2011の参加者で、ご自分も完走なさった飯田彩乃さん
5首鑑賞していただきました。


027:水
くちかずの多き光に照り映ゆる真水はものをいはぬ毒薬

031:電
電脳のうみ漂はばにじいろの尾びれそよがす魚(いを)とならまし

056:摘
笑む君は手ゆび美(くは)しき殺人者摘む花首は我やもしれぬ

077:狂
狂ほしき嵐の去りて天井の白きを空のごとくに眺む

087:閉
厨辺のましろき湯気に閉ざされて妻たる我よ盲目であれ


選歌にも特徴があり、鑑賞も非常に女性らしい細やかな視線を感じました。
ありがとうございました。


冬近し [その他]

白鳥の渡り来してふ友の住む陸奧(みちのく)に地震(なゐ)いまだ止まざり

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Facebookで再会し、twitterでもフォローしている
大学時代の友人がいます。
宮城県在住の彼のツイートを読んでいて気がついたのは
いまだに3日にあげず余震が続いていることです。

一方、被災地から離れている私たちはといえば、
長引く原発の被害におびえ、放射能への恐怖を徒に増幅させる一方で
すべての原因となった震災への恐怖は薄れつつあります。

宮城には白鳥が飛来したとのこと。
「白鳥」は冬の季語です。
もう冬も近いというのに、余震はやまず、道路は未だに凹凸やひび割れだらけ、
がれきの撤去も終わっていません。

被災者以外はともすれば忘れがちな現状ですが、
ことばにして紡げることがあれば、心に留めて発信していきたいと思います。

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